アナと雪の女王「レット・イット・ゴー」5つのバージョンの売れ行きを比較してみる

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2014年の音楽シーンを最も盛り上げている楽曲として「アナと雪の女王」の「レット・イット・ゴー」が挙げられる。「レット・イット・ゴー」を収録したアルバム「アナと雪の女王 オリジナル サウンドトラック」はオリコン調べで90万枚を超えるヒットを記録している。
ただし、インターネット上ではアルバムの売上枚数よりも、複数のアーティストが歌う「レット・イット・ゴー」の売れ行きの比較に関する話題が頻繁に登場する。そこで、2014年の音楽シーンを盛り上げている「レット・イット・ゴー」5バージョンの売れ行きを比較してみよう。

 
■ 松たか子、May J.ら様々なアーティストが歌う「レット・イット・ゴー」
 本記事で取り上げるのは、3月〜9月にかけてiTunesトップソングで上位入りを記録した「レット・イット・ゴー」5バージョンである。松たか子、May J.、イディナ・メンゼル、デミ・ロヴァートの4名が歌う「レット・イット・ゴー」を取り上げる。このうち、May J.の「レット・イット・ゴー」はエンドソングと挿入歌の2バージョンが存在する。

 
■ 一番売れた「レット・イット・ゴー」は・・・
 それでは5バージョンのiTunesトップソングにおける順位推移を見て行こう。以下は、3/1〜9/6までの5作品の推移を可視化したグラフである。


※4/27: 最後に5バージョンが同時トップ20入り。5/15: 松たか子の連続1位記録が50日でストップ。8/21: 松たか子の連続トップ10入りが155日でストップ。

 グラフを見ると、まず飛び込んでくるのは松たか子の「レット・イット・ゴー」の順位推移である。松たか子の「レット・イット・ゴー」は9月に入っても20位以内をキープしており、他の4作品とは比較にならないほど、圧倒的に売れていることが分かる。松たか子の「レット・イット・ゴー」は年間チャートで現在の暫定1位を独走している。

 次に売れているのは、イディナ・メンゼルの「レット・イット・ゴー」である。こちらは英語版の「レット・イット・ゴー」であるが、映画の話題が最も盛り上がった3月〜5月のチャートではMay J.版を上回る売れ行きを見せた。

 3番目はMay J.の「レット・イット・ゴー」(挿入歌Ver.)である。当初の売れ行きは低かったが、テレビなどで取り上げられる機会が増えると、イディナ・メンゼルよりも粘り強い推移を見せた。ちなみにイディナ・メンゼルとMay J.の順位が入れ替わったのは5/15であり、映画の公開から2ヶ月が経った頃である。なお、May J.は挿入歌とエンドソングの2つのVer.を発売しており、この2バージョンの売れ行きをまとめた場合、イディナ・メンゼルに匹敵するようだ。

 忘れてはならないのが、デミ・ロヴァートの「レット・イット・ゴー」である。イディナ・メンゼルVer.のカバー曲という扱いだが、日本では春頃までMay J.のエンドソングを上回る売れ行きを見せた。

 
■チャート1位を獲得したのは松たか子とイディナ・メンゼル
 この5バージョンのうち、1位を獲得したのは松たか子とイディナ・メンゼルのバージョンである。5バージョンの最高位は以下の通りである。May J.は挿入歌の方が高い売れ行きだが、順位ではエンドソングが勝っている。

1位 … 松たか子
1位 … イディナ・メンゼル
3位 … May J. (エンドソング)
4位 … May J. (挿入歌)
7位 … デミ・ロヴァート

 上記で示すように、5バージョンともトップ10入りを記録。3/30には5バージョン同時トップ10入りという記録も生まれた。

 
■メディア露出0の松たか子が圧倒的に売れ、頻繁にメディア露出するMay J.を圧倒する現実
 グラフで示した通り、日本では松たか子Ver.の売れ行きが圧倒的である。ただし松たか子がテレビで「レット・イット・ゴー」を披露した回数は未だ0であり、テレビで頻繁に耳にするのはMay J.のバージョンである。しかし、May J.はメディアに多くの出演がありながら、一度も松たか子の順位を上回ったことがないのが現実である。

 松たか子Ver. と May J. Ver.の売れ行きの違いは、グラフが明確に示している。May J. がテレビで「レット・イット・ゴー」を歌う度にインターネット上で違和感を訴える声が挙がっているが、日本のユーザにとっては「レット・イット・ゴー」= 松たか子という印象が広く浸透しているためと言えるだろう。

 これから年末にかけては「NHK紅白歌合戦」や「レコード大賞」の話題が中心となるが、松たか子はテレビに出演しない可能性が大きく、歌うならMay J.という状況である。ただし、前述の状況から、May J.が歌う→インターネット上で反感の声が高まる、という構図が容易に想像できてしまう。この状況を打開するためのイメージアップ戦略も、下手に打てば逆に反感を増すだけと見られ、今の状況はMay J. にとってあまりにも残念な構図と言える。

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