2016年も間もなく終わろうとしている。今年も、各種メディアでは2016年の総まとめモードに入っており、今年のヒット商品や流行語などの発表が賑わっている。そこで当サイトでも、2016年の音楽シーンを、音楽チャートの結果を中心に振り返ってみたい。
音楽というキーワードでこの1年を振り返った時、今年は、昨年までに比べると音楽シーンに明るさが戻っていると実感した人が多いのではないだろうか。ただ、明るさが戻ったと感じられる背景は、単に音楽配信やストリーミングへのシフトが進んだということだけでは、説明が難しい。
振り返ると、2016年は、映画・ドラマ・CM・アニメ・・・あらゆる分野から数多くのヒット曲が飛び出し、世の中を盛り上げた。良いことも悪いことも多くあった1年であるが、数多くのブームや現象の横には、常に音楽があったとも言えるような1年であった。これからの忘年会シーズンに「PERFECT HUMAN」か「PPAP」か「恋ダンス」か・・・などと、ネタに悩む人も多いようである。音楽を中心にした盛り上がりは、例年以上の規模だったと言えるようだ。
これから取り上げるのは、2016年の音楽シーンを、1ヶ月ごとに振り返った記録である。本まとめとともに、今年のヒットを見直し、数多くのブームを振り返ってみよう。
■ 2015年12月
2016年度の音楽シーンは前年末から始まる。まず話題となったのは、ドラマの主題歌に起用されて記録的な大ヒットを記録したback numberの「クリスマスソング」である。「クリスマスソング」は、単なるドラマ主題歌という要素に加え、クリスマスシーズンに合わせたリリースが功を奏し、ミリオンセラー(100万ダウンロード)を達成した。
次にヒットしたのは、”au三太郎” のCMソングで話題を集めた浦島太郎 (桐谷健太) の「海の声」である。日本のおとぎ話に登場する数々の個性豊かなキャラクターが登場するCMが話題となった “au三太郎” のCMの影響で、「海の声」も記録的な大ヒットとなり、「クリスマスソング」とともにミリオンセラー(100万ダウンロード)を達成した。
また、NHK朝の連続テレビ小説 “あさが来た” の主題歌に起用されたAKB48の「365日の紙飛行機」が、近年のAKB48の楽曲の枠を超え、女性アイドルグループの作品として、異例の規模でヒットを記録した。この楽曲はシングル「唇にBe My Baby」のカップリング曲であり、カップリング曲が表題曲よりも注目される現象も、異例のことであった。
アニメ界からは、女性を中心に大ブームを起こしたアニメ “おそ松さん” の主題歌、VOICE by イヤミ feat.おそ松×カラ松×チョロ松×一松×十四松×トド松(cv.鈴村健一,櫻井孝宏,中村悠一,神谷浩史,福山潤,小野大輔,入野自由)「SIX SAME FACES ~今夜は最高!!!!!!~」がCDシングルで10万枚を超えるヒットを記録した。”おそ松さん” 人気は絶大で、楽曲のみならず、関連商品も大いに売れ、人気を博した。
★ 2015年12月のヒット曲
back number 「クリスマスソング」
浦島太郎 (桐谷健太) 「海の声」
西野 カナ 「No.1」
AKB48 「365日の紙飛行機」
コブクロ 「未来」
VOICE by イヤミ feat.おそ松×カラ松×チョロ松×一松×十四松×トド松(cv.鈴村健一,櫻井孝宏,中村悠一,神谷浩史,福山潤,小野大輔,入野自由) 「SIX SAME FACES ~今夜は最高!!!!!!~」
他
■ 2016年1月
年が明けて1月に入ると、前年末の “NHK紅白歌合戦” で披露された楽曲が相次いでヒットを記録した。その筆頭に立ったのが、前年からヒットを記録していた星野源の「SUN」である。前年に “NHK紅白歌合戦” 出場が決まった直後からじわ売れしていた「SUN」は、紅白のパフォーマンス後に人気が爆発し、紅白効果でさらにセールスを伸ばし、発売から1年以上に渡り、ロングセラーを記録することとなった。
NTTドコモ iPhone 6sのCMソング “感情のすべて/家族” 篇に起用され、前年末からチャートを浮上していたONE OK ROCKの「Wherever You Are」が、CMの視聴者の口コミで支持を拡大し、本格的なヒットを記録した。この楽曲は2010年に発売したアルバム「Nicheシンドローム」収録曲であり、発売から6年の時を経て、CMを機に広く認知され、大ヒットまで発展した。
前年から話題の “au三太郎” CMに起用された、AIの「みんながみんな英雄」がヒットした。「みんながみんな英雄」は浦島太郎 (桐谷健太) 「海の声」とともに、1月〜2月にわたって音楽シーンの中心となった。また、前述のONE OK ROCKとAIのヒットの共通点は、携帯電話会社のCMソングに起用されたことであり、改めてヒットメーカーとしての携帯電話会社の影響力が注目された。
1月に入り、SMAPの解散・分裂報道が表面化した。8月には、SMAPが2016年末をもって解散することが正式に発表されてしまう。そんな中、多くのファンが解散を阻止/撤回させたいとの思いから、2003年のヒット曲「世界に一つだけの花」を買い求めた。この購買運動の結果「世界に一つだけの花」が音楽チャートの上位入りを記録したことにより、様々な場所で多くの人の耳に入ることとなり、発売された2003年以来、実に13年ぶりの大ヒットに発展した。
★ 2016年1月のヒット曲
星野源 「SUN」 (2015年発売)
ONE OK ROCK 「Wherever You Are」 (2010年発売)
SMAP 「世界に一つだけの花」 (2003年発売)
AI 「みんながみんな英雄」
他
■ 2月
ドラマ “いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう” の主題歌に起用された手嶌葵の「明日への手紙」が、手嶌葵にとって「テルーの唄」以来10年ぶりとなるヒットを記録した。元々は2014年発売のアルバムに収録された今作であるが、ドラマを通じて広く認知され、2年越しのヒットとなった。原曲のみならず、ドラマに出演した女優・有村架純を写したジャケットで発売された、リアレンジ版「ドラマバージョン」もヒットを記録し、話題となった。
強烈なインパクトを残した「PERFECT HUMAN」は2月に登場した。発売は前年の12月であったが、2月にお笑い番組 “ENGEIグランドスラム” にてオリエンタルラジオのネタの中で披露されると、瞬く間に世を駆け巡り、1週間後には圏外からチャート1位まで上り詰めた。「PERFECT HUMAN」の勢いは凄まじく、楽曲の売上のみならず、YouTubeの動画再生回数も伸びに伸び、一大ブームを起こした。
★ 2016年2月のヒット曲
手嶌葵 「明日への手紙(ドラマバージョン)」
RADIO FISH 「PERFECT HUMAN」
嵐 「復活LOVE」
他
■ 3月
「Wherever You Are」に続き、NTTドコモのCMソングに起用されたONE OK ROCKの「Always coming back」がヒットを記録し、CMとともに存在感を見せつける結果となった。1月〜3月はワンオクの楽曲を耳にしない日がないほどCMが流れていたと言えるくらいであり、多くのファンがCMを通じて楽曲を知り、支持および購入したようだ。
女性アイドルグループの作品では、飛ぶ鳥を落とす勢いで人気を拡大している乃木坂46が、「ハルジオンが咲く頃」のCDシングルで70万枚を超えるヒットを記録した。乃木坂46は、メンバー1人あたりのCDの売上枚数がAKB48を遥かに上回る結果となっており、人気の大きさを改めて知らしめている。乃木坂46は2016年もCDの売上枚数が拡大し続けており、来年はいよいよ枚数でもAKB48を上回る可能性があるだろう。
見逃せないのは、海外から逆輸入される形でヒットを記録した、BABYMETALの「KARATE」の存在であろう。「KARATE」が収録されたアルバム「METAL RESISTANCE」は、アメリカのビルボード 200で39位を記録し、日本人アーティストとしては坂本九のアルバム「Sukiyaki and Other Japanese Hits」(1969年)の14位以来、53年ぶり2組目のトップ40入りという歴史的快挙を達成した。このような海外における活躍は日本でも注目され、日本でもCDが20万枚を超えるヒットを記録した。
映画 “ちはやふる” の主題歌に起用され、若者を中心に大ヒットを記録したのは、Perfumeの「FLASH」であった。Perfumeはこの楽曲で音楽配信チャートにおいて初めて1位を獲得し、自身としても久々のヒット曲誕生となった。映画 “ちはやふる” が前編・後編と分かれ、長く上映されたこともあり、「FLASH」は2ヶ月以上にわたって売れ続け、話題となった。
音楽配信チャートで初の1位を獲得したと言えば、aikoの「もっと」にも当てはまることである。ドラマ「ダメな私に恋してください」の主題歌に起用された今作は、3月末のチャートで前述のONE OK ROCK、Perfumeらと1位を争い、頂点に立っている。今作は、発売がドラマの放送終了後にもかかわらずヒットを記録しており、この事実が、楽曲への支持が大きかったことを裏付けている。
★ 2016年3月のヒット曲
ONE OK ROCK 「Always coming back」
乃木坂46 「ハルジオンが咲く頃」
BABYMETAL 「KARATE」
Perfume 「FLASH」
aiko 「もっと」
BLUE ENCOUNT 「Survivor」
他
■ 4月
乃木坂46の妹分ユニットとして新たにデビューした、欅坂46の1stシングル表題曲「サイレントマジョリティー」が音楽配信・CDの両方で1位を獲得し、話題となった。タイアップのCM、YouTubeの動画などを通じて支持を拡大した「サイレントマジョリティー」は、4月〜5月に渡って売れ続け、女性アイドルグループのデビュー作としては史上稀に見る快進撃となった。
自身3年4ヶ月ぶりのリリースとなった宇多田ヒカルの「花束を君に」は、NHK朝の連続テレビ小説 “とと姉ちゃん” の主題歌に起用され、ドラマが放送された4月〜9月に渡って、実に半年にも及ぶロングセラーを記録した。また、同時リリースされた「真夏の通り雨」とチャート1位・2位を独占したことも話題となった。
アニメ映画 “クレヨンしんちゃん 爆睡! ユメミーワールド大突撃” の主題歌に起用された、ケツメイシの「友よ ~ この先もずっと・・・」のヒットも見逃せない。今作は、映画公開の1ヶ月前から話題を集め、ゴールデンウィーク前に映画が公開されると、ヒットの規模を拡大した。チャート上位への滞在は約2ヶ月に渡った。テレビ放送、映画を通じた盛り上げと、その映画の公開時期、さらにはCDシングルの発売時期など、多様な要素が上手く絡み合って生まれたヒットだったと言えるだろう。
アニメ “マクロスΔ” の放送が開始され、アニメに出演するキャラクターによるボーカルユニット・ワルキューレが注目を集めた。アニメの放送開始前、昨年の12月から発売されて話題となっていた「いけないボーダーライン」は、4月の放送開始のタイミングで改めてヒットを記録し、その後続く “マクロスΔ” 関連楽曲のヒットの皮切りとなった。
★ 2016年4月のヒット曲
・欅坂46 「サイレントマジョリティー」
・宇多田ヒカル 「花束を君に」
・宇多田ヒカル 「真夏の通り雨」
・ケツメイシ 「友よ ~ この先もずっと・・・」
・ワルキューレ 「いけないボーダーライン」
・西野 カナ 「あなたの好きなところ」
他
■ 5月
2016年、「Mint」「HERO」と続く安室奈美恵のヒットの第1章はここから始まった。ドラマ “僕のヤバイ妻” の主題歌に起用された「Mint」は、5月に発売されるとすぐに音楽配信チャートで1位を獲得し、自身としては2014年発売の「BRIGHTER DAY」以来、久々となるヒットを記録した。安室奈美恵の楽曲には様々なバリエーションが存在するが、今回の「Mint」のような曲調でヒットを記録することはあまりないことである。あえて表現するならば、新たな風を吹き込むようなヒットだったとも言える。
今年のアニメソングを語る上で、やはり “マクロスΔ” とワルキューレの話題は外すことができないだろう。前月から続く “マクロスΔ” のブームは、主題歌の「一度だけの恋なら」と「ルンがピカッと光ったら」が発売されるとさらに加速した。この2曲は音楽配信チャートの1位・2位を独占し、宇多田ヒカルに続く快挙を達成した。その後も数多くのキャラクターソングがリリースされ、チャートの上位を占めるなど、”マクロスΔ” のブームは長く続いた。
★ 2016年5月のヒット曲
・安室奈美恵 「Mint」
・ワルキューレ 「一度だけの恋なら」
・ワルキューレ 「ルンがピカッと光ったら」
・嵐 「I seek」
・嵐 「Daylight」
・Dream Ami 「トライ・エヴリシング」
・EGOIST 「KABANERI OF THE IRON FORTRESS」
他
■ 6月
ドラマ “ラヴソング” に出演し、主題歌を担当した藤原さくらの活躍も見逃せないものである。ドラマの主題歌「Soup」と劇中歌「好きよ 好きよ 好きよ」の2作品は大きな話題を集め、5月〜6月に渡ってチャート上位にランクインした。藤原さくらがドラマの劇中で披露したライブシーンも大きな話題を呼び、楽曲のヒットに繋がっていった。2016年12月の時点で、次作以降のリリースは未定だが、今後の活躍にも期待したいところである。
映画「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」の主題歌に起用され、注目を集めたFlowerの「やさしさで溢れるように」が、音楽配信チャートで1位を獲得するヒットを記録した。「やさしさで溢れるように」は、2009年に発売されたJUJUの同名曲のカバーであり、原曲を知るファンからも注目された。昔ほどカバー曲に注目が集まらなくなった2016年において、あえて述べれば、珍しい形のヒットだったと言えるのではないだろうか。
平井堅が自身2年ぶりとなるヒット曲「魔法って言っていいかな?」を音楽シーンの中心に送り込んできたのも、この6月である。 今作は “Panasonic 4Kカメラ” CMソングを通じてじわじわと話題を拡大し、音楽番組における披露で一気に人気を爆発させた。
アップテンポなナンバーだった2年前の「グロテスク」とは真逆の、優しく聴かせる楽曲の登場は、女性を中心に大きな支持を集めた。
★ 2016年6月のヒット曲
・藤原さくら 「Soup」
・藤原さくら 「好きよ 好きよ 好きよ」
・Flower 「やさしさで溢れるように」
・平井 堅 「魔法って言っていいかな?」
・AKB48 「翼はいらない」
他
■ 7月
“めざましテレビ” の主題歌に起用された西野カナの「Have a nice day」が注目を集め、以前に同番組のテーマソングに起用された「Darling」に続き、ヒットを記録した。「Have a nice day」は朝に相応しい明るくアップテンポなナンバーが、若者を中心に受け、大きな支持を獲得した。「Have a nice day」のヒットは、西野カナの安定した巨大な支持が今年も変わりないということを印象づけたと言える。
人気バラエティ番組 “痛快TVスカッとジャパン” の1コーナーで使用されたナオト・インティライミの「Overflows~言葉にできなくて~」が、泣ける曲として話題を集めた。番組内で青春ドラマ風に描かれるストーリーに合わせて流れる本楽曲に対し、学生を中心とした視聴者がTwitter等で高評価を広めたことにより、従来のファン層を越えてヒットが拡大したようだ。ナオト・インティライミにとっては「恋する季節」(2013年)以来のヒットとなった。
アニメ「アルスラーン戦記 風塵乱舞」OPテーマに起用された藍井エイルの「翼」が、音楽配信チャートで1位を獲得し、自身の楽曲の中でも最大規模のヒットを記録した。藍井エイルの人気はこのヒットにより絶頂期に至ったと思われたが、そんな矢先の8月、藍井エイルは突如体調不良により当面の活動休止を発表し、11月から予告通り活動休止状態となってしまった。大ヒットの最中に発表された突然の報に対する衝撃は大きく、今も多くのファンによって早い回復と復帰が望まれている。
サザンオールスターズ・桑田佳祐のソロシングル「ヨシ子さん」がCDでヒットを記録した。表題曲「ヨシ子さん」は、桑田節全開と言える歌詞のぶっ飛び具合が、ネット上を中心に話題となった。また “UCC上島珈琲” のCMソングに起用された「大河の一滴」が、CMおよび音楽番組における披露をきっかけに支持を集めた。これらの作品は音楽配信チャートでも上位を記録し、幅広い層に支持されていることを裏付ける結果を残した。
★ 2016年7月のヒット曲
・西野 カナ 「Have a nice day」
・ナオト・インティライミ「Overflows~言葉にできなくて~」
・藍井エイル 「翼」
・[Alexandros] 「ワタリドリ」 (2015年発売)
・桑田佳祐「大河の一滴」
・乃木坂46 「裸足でSummer」
他
■ 8月
リオデジャネイロ・オリンピックが開幕し、NHKのオリンピック放送テーマソングに起用された安室奈美恵の「Hero」が大ヒットを記録した。8月、テレビのチャンネルをNHKに回せば高頻度で「Hero」を耳にすることとなり、「Hero」は一気に世の中に浸透した。「Hero」はオリンピックが開幕した当日からチャート1位を獲得し続け、リオデジャネイロ・オリンピックの開催期間中、すなわち8月の音楽シーンの話題の中心となった。
韓国の女性ボーカルグループKARAの元メンバー・ジヨンがJY名義でリリースした「好きな人がいること」が、同名タイトルのドラマ “好きな人がいること” の主題歌に起用され、ドラマの視聴者を中心に支持を拡大し、自身最大のヒットを記録した。2016年も、例年と同様にフジテレビ系月9ドラマタイアップ枠からのヒットが連発し、手嶌葵、藤原さくらに続き、3組のヒット曲が誕生した。同枠のドラマの視聴率は低下が騒がれることが多くなっているが、楽曲の売れ行きに対しては依然として大きな影響を持っていると言えるようだ。
インディーズ作品から久々に明るい話題が飛び込んだ。インディーズロックバンド・WANIMAの新曲「ともに」が、音楽配信・CDの両方でヒットを記録し、新たな風を吹き込んだのである。 “8x4” のCMソングに起用された今作は、季節にも合った明るく軽快なナンバーが話題を呼び、広く世の中に浸透した。今作のヒットを機にさらに人気を拡大し、次作以降ではより規模の大きなヒットを記録する可能性があると言え、目が離せない存在だろう。
この記事をまとめている現在に至るまで、絶大なヒットを記録しているRADWIMPS「前前前世」がリリースされたのは、7月末のことであった。映画 “君の名は。” の公開は8月末であり、1ヶ月前からリリースされた今作は、当初からチャート1位を獲得し、話題となった。8月は安室奈美恵「Hero」の影に隠れている時期が多かったが、8月末に映画が公開されると、一気に頂点へと駆け上ることになる。
★ 2016年8月のヒット曲
・安室奈美恵 「Hero」
・JY 「好きな人がいること」
・BUMP OF CHICKEN 「アリア」
・WANIMA 「ともに」
・Aimer 「蝶々結び」
・欅坂46「世界には愛しかない」
・RADWIMPS 「前前前世」
他
■ 9月
RADWIMPSが9月の音楽シーンの全てであったと説明しても、なんら違和感がない。それだけ、9月のRADWIMPSと “君の名は。” ブームは凄まじいものであった。映画 “君の名は。” の主題歌「前前前世」は音楽チャートの1位を獲得し続け、2014年に大ヒットした松たか子「レット・イット・ゴー」以来の規模で快進撃を記録した。さらには「スパークル」「なんでもないや」「夢灯籠」の3曲が立て続けにヒットを記録し、一時、音楽チャートの1位〜4位をRADWIMPSの4曲が占めるという、未だかつてない事態となった。さらに、映画 “君の名は。” は公開から9週連続で興行収入ランキングの1位を獲得。映画の興行収入は200億円突破が確実となっており、これは邦画史上3位(2016年11月末現在)の記録である。
RADWIMPSと “君の名は。” に関連するブームは、この記事をまとめている2016年12月になっても収束の気配がなく、今もなおリアルタイムでヒットは進行している。今まさに、史上稀に見る大ブームを目の当たりにしている最中なのである。
★ 2016年9月のヒット曲
・RADWIMPS 「前前前世」
・RADWIMPS 「なんでもないや」
・RADWIMPS 「スパークル」
・RADWIMPS 「夢灯籠」
・ONE OK ROCK 「Taking Off」
他
■ 10月
RADWIMPSと “君の名は。” のブームが続き、音楽シーンが今年最高潮に盛り上がる中、新たにとてつもない巨塔が現れた。その正体は、ピコ太郎の「ペンパイナッポーアッポーペン」 (PPAP/Pen-Pineapple-Apple-Pen)である。ブームの発端は、ジャスティン・ビーバーがTwitterで “PPAP” の話題をツイートしたことだった。ジャスティン・ビーバーのツイートをきっかけに、YouTubeの動画再生回数が凄まじい伸びを記録し、”PPAP” ブームはまず海外で火が付いた。この人気には海外のメディアも黙っておらず、CNNがPSYの大ヒット曲「江南スタイル」 のタイトルを引用し “new Gangnam Style” と取り上げるなど、記録的大ブームとなった。 “PPAP” は、日本でも瞬く間に浸透し、ハロウィンでピコ太郎に仮装する若者が続出した他、2016年の流行語大賞にもノミネートされた。
“君の名は。” 主題歌の大ヒットの最中、さらに “PPAP” が加わって、音楽シーンでは2大ブームが進行していた。これだけでも最近の音楽シーンではめったに見られない状況であるが、この時点で、ここに第3の波が加わると想像できた者は、おそらくいなかったであろう。第3の波、それは言わずもがな、星野源「恋」と “恋ダンス” の登場である。ドラマ “逃げるが恥だが役に立つ” の主題歌に起用された「恋」は、エンディングで星野源、新垣結衣らが踊る “恋ダンス” が一躍話題を呼び、大ブームを起こした。
10月はここまででもお腹いっぱいであるが、忘れてはいけない大きな話題がまだある。それはHi-STANDARDの新作「ANOTHER STARTING LINE」が発売されたことである。前作「Love Is A Battlefield」から実に約16年ぶりとなる新作は、公式HPや店舗・雑誌等における事前告知なく、いきなり店舗に並び、大きな話題となった。「ANOTHER STARTING LINE」発売されたとの報はTwitter等を媒体にして、口コミで広まり続け、なんと20万枚を超えるヒットを記録した。2016年において、ノンタイアップ・1種・一切の事前告知なしという条件におけるこの記録は、奇跡としか表しようがないものである。
振り返れば、この10月は “君の名は。” と “PPAP” と “恋ダンス” による3大ブームを一挙に目の当たりにしただけでなく、Hi-STANDARDの16年ぶり新作のサプライズ発売に直面するという、とてつもなく濃い1ヶ月だったのである。神のいたずらとも、もう少し分散して訪れてくれれば良いのにとも感じさせられるほどに、お腹いっぱいな1ヶ月であったと言える。音楽シーンにおいて、近年では稀に見る盛り上がりであったことは、説明するまでもないだろう。
★ 2016年10月のヒット曲
ピコ太郎 「ペンパイナッポーアッポーペン (PPAP)」
星野源 「恋」
Hi-STANDARD 「ANOTHER STARTING LINE」
宇多田ヒカル 「道」
中田ヤスタカ 「NANIMONO (feat. 米津玄師)」
他
■ 11月
10月の話題を占めた “君の名は。” と “PPAP” と “恋ダンス” の3大ブームの大きさが凄まじく、11月に入ってもこの3大ブームが話題の中心を占めている。また、以下に取り上げる11月のヒットは今なお進行中のものも多く、今後の推移も見守っていきたいところである。
CDシングルで勢いを見せたのは乃木坂46の「サヨナラの意味」であり、80万枚を超える自己最高の成績を記録しており、自身初のミリオンセラー達成となるかどうかに注目が集まっている。「サヨナラの意味」は音楽配信チャートでも上位入りを記録し、握手券に頼らずも売れることを証明し、人気の大きさを知らしめている。
back numberの「ハッピーエンド」が映画「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」主題歌に起用され、ヒットを記録している。星野源「恋」の勢いに隠れる形ではあるが、チャート上位へのランクインを続けており、「クリスマスソング」以来の好記録が期待できそうである。2014年以降、back numberの人気は常に高いラインを維持しており、来年以降も益々の活躍が期待される。
アニメ「ユーリ!!! on ICE」のOPテーマで話題を集めたDEAN FUJIOKAの「History Maker」は、10月からロングセラーを続け、スマッシュヒットを記録している。低空飛行ではあるものの、10月、11月とほぼ変わらないチャート推移を記録しており、アニメの人気の高まりとともに一気にブレイクしそうな予感を漂わせている。
★ 2016年11月のヒット曲
乃木坂46 「サヨナラの意味」
back number 「ハッピーエンド」
桑田佳祐 「君への手紙」
DEAN FUJIOKA 「History Maker」
他
以上、簡単にではあるが、2016年の音楽シーンを振り返ってみた。このように振り返ってみると、2016年は映画・ドラマ・CM・アニメなどといった様々なところからヒットが生まれた1年だったと言えるだろう。また、CM等の影響で前年以前の楽曲が注目されるヒット、海外で火が付いて逆輸入されたヒット、YouTubeを中心に爆発したヒットなど、これまでの法則に当てはまりにくいヒットも様々に生まれたと言える。全体を通してみると、ヒット曲は豊富で、例年と比較してもかなり恵まれた1年だったのではないだろうか。
果たして、来年はどんな楽曲が生まれ、世の中を楽しませ、賑わせてくれるのだろうか。今年を上回る規模の盛り上がりが、2017年の音楽シーンに起きることを期待しよう。
NEXT→ 2016年のヒット曲 年間トップ300を発表!
もっと細かく振り返りたい方には、以下を1月から順に読まれることをお勧めします。
・「オリジナルiTunes週間トップソング」
参考
・2015年のヒット曲まとめ