2014年元日±3日の音楽チャート比較による紅白効果検証

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55昨年大晦日の「第64回NHK紅白歌合戦」の放送から随分と時間が経過した。紅白での披露をきっかけにしてチャートを駆け上がった作品を、前回「「第64回NHK紅白歌合戦」紅白効果で最も売れた音楽作品は?」というエントリで紹介したが、駆け上がった勢いで上位に定着し、ヒットし続けているかどうかという点も気になるところである。
そこで、2014年の元日を軸に、±3日の前後比較によりチャートの顔ぶれを比べてみよう。

   まずは昨年12/29のiTunesトップソングを眺めてみよう。12/29は、まだ「NHK紅白歌合戦」も「レコード大賞」も放送されていない。この日のチャートの顔ぶれは次の通りである。

12/29
*1位…SPICY CHOCOLATE 「ずっと feat.HAN-KUN & TEE」
*2位…AKB48 「恋するフォーチュンクッキー」
*3位…MUSH&Co. 「明日も」
*4位…小枝理子&小笠原秋 「ちっぽけな愛のうた」
*5位…E-girls 「ごめんなさいのKissing You」
*6位…Twinkle5(カナエ、川添美奈、小野春乃、原 江梨子、五十嵐弥生) 「JUMP!!!!!」
*7位…ゆず 「雨のち晴レルヤ」
*8位…Linked Horizon 「紅蓮の弓矢」
*9位…安室奈美恵 「Love Story」
10位…Twinkle5(阿部柚希、川添美奈、小野春乃、原 江梨子、五十嵐弥生) 「TwinkleWink」
11位…SEKAI NO OWARI 「RPG」
12位…コブクロ 「今、咲き誇る花たちよ」
13位…Flower 「白雪姫」
14位…鎧武乃風 「JUST LIVE MORE」
15位…きゃりーぱみゅぱみゅ 「もったいないとらんど」
16位…三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE 「冬物語」
17位…家入レオ 「太陽の女神」
18位…ゆず 「表裏一体」
19位…レディー・ガガ 「Applause」
20位…西野カナ 「さよなら」

13/12/29付iTunes配信速報:SPICY CHOCOLATE「ずっと」が15日連続1位獲得、Linked Horizon「紅蓮の弓矢」がトップ10返り咲き!

   ピンクで色を付けた作品が紅白で披露された楽曲である。割合で見ると、紅白で披露された楽曲はトップ20中8作品であり、半数未満である。AKB48「恋するフォーチュンクッキー」やE-girls「ごめんなさいのKissing You」といった一部の作品は、紅白での披露前から上位にいることが分かる。

   次に、紅白の放送が終わった1/1のチャートを見ていこう。12/29のチャートと比べると、ピンクで示した紅白で披露された楽曲の割合が一気に増えていることが分かる。

1/1
*1位…SPICY CHOCOLATE 「ずっと feat.HAN-KUN & TEE」
*2位…AAA 「恋音と雨空」
*3位…AKB48 「恋するフォーチュンクッキー」
*4位…Linked Horizon 「紅蓮の弓矢」
*5位…ゆず 「雨のち晴レルヤ」
*6位…E-girls 「ごめんなさいのKissing You」
*7位…DREAMS COME TRUE 「さぁ鐘を鳴らせ」
*8位…miwa 「ヒカリヘ」
*9位…西野カナ 「さよなら」
10位…EXILE 「EXILE PRIDE ~こんな世界を愛するため~」
11位…MUSH&Co. 「明日も」
12位…水樹奈々×T.M.Revolution 「革命デュアリズム」
13位…コブクロ 「今、咲き誇る花たちよ」
14位…いきものがかり 「笑顔」
15位…大滝詠一 「幸せな結末」
16位…天野春子(小泉今日子) 「潮騒のメモリー」
17位…ゴールデンボンバー 「101回目の呪い」
18位…サカナクション 「ミュージック」
19位…きゃりーぱみゅぱみゅ 「もったいないとらんど」
20位…家入レオ 「太陽の女神」

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   具体的に12/29のチャートと比較していこう。割合で見ると、トップ20中15曲が紅白で披露された楽曲である。トップ10の曲目を見ていくと、2位のAAA「恋音と雨空」と7位のDREAMS COME TRUE「さぁ鐘を鳴らせ」、8位のmiwa「ヒカリへ」の3作品は、12/29のチャートではトップ20外であり、紅白効果で大きく浮上したのは間違いない。10位のEXILE「EXILE PRIDE ~こんな世界を愛するため~」については、紅白効果の他に、12/30のレコード大賞受賞効果も考えられる。水樹奈々×T.M.Revolution「革命デュアリズム」、いきものがかり 「笑顔」、天野春子(小泉今日子) 「潮騒のメモリー」、サカナクション 「ミュージック」の4作品も、12/29にはトップ20に姿がなかった作品である。また、Linked Horizon「紅蓮の弓矢」とゆず「雨のち晴レルヤ」の2作品は、12/29より順位を上げており、同じく紅白効果による浮上と考えられる。

   浮上した作品ばかりが目立つ一方で、12/29付で16位にチャートインしていた三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE「冬物語」が、1/1付でトップ20外に姿を消している。この作品も紅白で披露された楽曲だが、披露後に大きく順位を下げてしまった。ただし、その裏では同曲が収録されたアルバム「THE BEST/BLUE IMPACT」が1位を獲得しているため、単曲ではなくアルバムを購入したファンが多いと言えるようだ。

   次に1/4のチャートを見ていこう。3日経っても上位に定着している作品と、そうではない作品があるようだ。

1/4
*1位…SPICY CHOCOLATE 「ずっと feat.HAN-KUN & TEE」
*2位…AKB48 「恋するフォーチュンクッキー」
*3位…MUSH&Co. 「明日も」
*4位…AAA 「恋音と雨空」
*5位…Linked Horizon 「紅蓮の弓矢」
*6位…E-girls 「ごめんなさいのKissing You」
*7位…小枝理子&小笠原秋 「ちっぽけな愛のうた」
*8位…ゆず 「雨のち晴レルヤ」
*9位…miwa 「ヒカリヘ」
10位…西野カナ 「さよなら」
11位…水樹奈々×T.M.Revolution 「革命デュアリズム」
12位…Linked Horizon 「紅蓮の弓矢[紅白スペシャルSize]」
13位…EXILE 「EXILE PRIDE ~こんな世界を愛するため~」
14位…きゃりーぱみゅぱみゅ 「もったいないとらんど」
15位…コブクロ 「今、咲き誇る花たちよ」
16位…斉藤和義 「やさしくなりたい」
17位…SEKAI NO OWARI 「RPG」
18位…大滝詠一 「幸せな結末」
19位…ゴールデンボンバー 「101回目の呪い」
20位…天野春子(小泉今日子) 「潮騒のメモリー」

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   具体的に見ていくと、トップ20中13曲が紅白で披露された楽曲である。1/1のトップ20に入っていた紅白披露曲のうち、1/4に姿を消したのはDREAMS COME TRUE「さぁ鐘を鳴らせ」、いきものがかり「笑顔」、サカナクション 「ミュージック」の3曲である。これら3作品は、トップ20外であるものの、いずれも12/29のチャートよりは順位が高い状態である。また、新たに1/2から配信されたLinked Horizon「紅蓮の弓矢[紅白スペシャルSize]」が入った。

  
ここで挙げた3つのチャートを比べると、紅白を機に大きな注目を集め、ヒットへと繋がりつつある作品が分かる。12/29にトップ20外で、1/1で2位、1/4も4位を記録しているAAA「恋音と雨空」はまさにそうである。同様にトップ20外から上がってそのまま上位をキープしている、miwa「ヒカリへ」と水樹奈々×T.M.Revolution「革命デュアリズム」にも同じ気配がある。AKB48「恋するフォーチュンクッキー」と
Linked Horizon「紅蓮の弓矢」は元々高順位だったが、紅白効果が加わったことでさらに安定し、しばらく上位に定着しそうな気配がある。

   ただし、12/29に3位だったMUSH&Co.「明日も」と、同7位だった小枝理子&小笠原秋「ちっぽけな愛のうた」の2作品が、1/1に順位を落とした後、1/4にはほぼ元の位置に戻りつつあることに注目すると、各作品の順位は高いままだが、勢いは徐々に落ちてきたと言えるようだ。新譜が登場する来週以降のチャートでも上位に残ると、確証を持って「紅白を機にヒットした」と評価できるだろう。

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