「声優」によるオリコンシングルデイリーランキング1位獲得の歴史を振り返る

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シャイン4/18付のオリコンシングルデイリーランキングでは、宮野真守が新曲「シャイン」でデビュー以来初の1位獲得を達成した。実は、男性声優の作品がオリコンシングルデイリーランキングの1位を獲得するのは、オリコンの長い長い歴史上、この宮野真守が史上初である。声優界の歴史にも、宮野真守は新たな1ページを刻み込んだのである。

以前、声優の作品を含む、アニメソングの作品をオリコンシングルデイリーランキングで1位に送り込む運動が盛んだった頃は、声優の作品による1位獲得は夢物語であった。その当時から10年前後の月日が流れた2015年の今現在も、オリコンシングルデイリーランキングの上位入りこそ当たり前になったものの、1位を獲得した事例は数えるくらいしかない。そんな「声優によるオリコンシングルデイリーランキング1位獲得」の歴史を振り返ってみよう。

 

■ 声優のオリコンデイリーランキング1位獲得が夢物語だった時代

 2000年台の前半は、声優にとって、オリコンシングルデイリーランキングで1位を獲得することはほぼ不可能であった。2015年現在のように、初日の1日だけしか勢いを見せない作品は皆無であり、ほぼ、どこにも隙がなかったのである。

 この頃は、シングルデイリーランキングで2位を獲得した作品ですら存在しなかった。水樹奈々の登場以前、女性声優で最も大きな勢いを持っていた林原めぐみも、当時は「Northern lights」(2002/03/27付)と「KOIBUMI」(2002/09/24付)で記録した3位が最高だった。売上枚数は高くても、1位どころか、2位にも届かなかったのである。

 2000年台の半ばに「機動戦士ガンダムSEED」が大きな人気を博すと、2005年に始まった第2シリーズ「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」の挿入歌として人気を集めた、FictionJunction YUUKAの「焔の扉」が1位を獲得した(2005/09/22付)。これが、オリコンの歴史上、声優初のオリコンシングルデイリーランキング1位獲得であった。FictionJunction YUUKAは、厳密には梶浦由記とのユニットである。声優の本人名義の作品が1位を獲得するまでは、ここから3年以上かかるのであった。

 

■ 2005年、水樹奈々が史上初の2位を記録。3年3ヶ月後、女性声優初の1位へ

 実は、声優のオリコンシングルデイリーランキング1位に向けて大きな動きがあったのは、「焔の扉」が1位を獲得してから僅か1ヶ月後のことだった。当時人気が右肩上がりで、まだ一般への知名度が低かった水樹奈々が「ETERNAL BLAZE」で2位を獲得したのである(2005/10/18付)。この作品は2位止まりとなってしまうが、この「ETERNAL BLAZE」の快挙により、水樹奈々の知名度は飛躍的に高まり、その後の立て続けの快進撃へと繋がっていく。ただ、水樹奈々はその後もシングルデイリーランキングの上位に立て続けに作品を送り込むものの、なかなか1位にはたどり着けなかった。

 水樹奈々の作品が初めてシングルデイリーランキング1位を手中にしたのは、「ETERNAL BLAZE」で2位を獲得してから3年3ヶ月後の2009年1月である。その1位を獲得した作品が「深愛」である(2009/01/21付)。これがオリコン史上初となる、声優の本人名義の作品によるオリコンシングルデイリーランキング1位獲得であった。水樹奈々がデイリー1位を獲得した2009年は、アニメ「けいおん!」のとてもつない快進撃など、声優界全体が大きく盛り上がった年であった。声優の本人の知名度も大きく上がり、特に水樹奈々は声優・アニメファン以外からの知名度も大きく上がることになった。水樹奈々は翌年「PHANTOM MINDS」で声優史上初のオリコン週間ランキング1位を獲得し、声優界に大きな快挙をもたらした。

 このように、水樹奈々のオリコンシングルデイリーランキング1位獲得と時を同じくして、女性声優の周辺が大きく盛り上がったのが、2009年〜2010年にかけてのことである。ただ、男性声優にはなかなか同じような波が訪れなかった。男性声優にこの手の大きな波が訪れたのは、水樹奈々が初のオリコンデイリーランキング1位を獲得した2009年から、さらに2年後の2011年のことである。

 

■ 2015年、宮野真守が男性声優初の1位獲得!

 2011年に、アニメ「うたの☆プリンスさまっ♪」のブームが訪れると、男性声優の作品の売れ行きも上がり始めた。これまで、深夜帯のアニメといえば女性キャラクターが活躍するものばかりがクローズアップされる傾向にあり、音楽のヒットも女性声優の作品ばかりが目立っていたが、「うたの☆プリンスさまっ♪」以降は「Free!」「黒子のバスケ」など、男性キャラクターが活躍するアニメに関連する作品も、頻繁にオリコンシングルデイリーランキングの上位に登場するようになった。

 この「うたの☆プリンスさまっ♪」ブームで、これまでの知名度をさらに拡大させたのが宮野真守である。宮野真守は、2013年の「カノン」で、当時、男性声優では史上最高のオリコンシングルデイリーランキング2位を記録する(2013/04/14付)。そして2015年、同じく「うたの☆プリンスさまっ♪」シリーズのタイアップ曲となった「シャイン」で、ついに待望の1位獲得を果たしたのである(2015/04/18付)。FictionJunction YUUKAが1位を獲得してから9年半、水樹奈々が1位を獲得してから6年3ヶ月が経過し、ようやくではあるが、ついに男性声優からも頂点にたどり着く者が現れたのである。それが宮野真守だった。宮野真守の快進撃により、2015年、ついに男性声優でも初の本人名義によるオリコンシングルデイリーランキング1位獲得が達成されたのだった。

 しかし、このように振り返ってみると、オリコンシングルデイリーランキングの声優による1位獲得は、本人名義だと水樹奈々と宮野真守しか達成していないことが分かる。アニメソングの上位入りが当たり前となって感覚が麻痺しがちだが、1位獲得の事例はまだほとんどないと言っても過言ではないだろう。水樹奈々、宮野真守に続くのは誰だ?という点も、今後の注目点となりそうである。

 

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