前年比10%減の音楽ソフト総売上に「金を払ってまで聴きたい曲が無いから」と厳しい意見

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さよならクロール<Type A>(通常盤)(メーカー特典あり)オリコンが17日、2013年度の音楽ソフト(シングル、アルバム、音楽DVD、音楽Blu-ray Disc)の売上をまとめた「年間マーケットレポート」を発表した。レポートによると、音楽ソフトの年間総売上額が3000億円を割り、2004年の調査開始以来の最低水準を更新したという。
これに対してユーザからは「当たり前だ」「金を払ってまで聴きたい曲が無いから当然である」などと、厳しい意見が飛び交っている。一昨年に導入された「ダウンロード違法化」も、売上回復には全く効果をもたらしておらず、ユーザからの音楽市場への評価は厳しいままだ。

   オリコンが17日に発表したレポートによると、音楽ソフトの売上額は2934.3億円で、前年比-10.3%と厳しい状況になっている。年間の売上額が3000億円を割るのは、オリコンがレポートの発表を開始した2004年以来初の出来事である。

■ 「金を払ってまで聞きたい曲が無い!」
   この現状に対し、Twitterや2chなどのネット上のコミュニティでは、音楽業界を厳しく非難する声が相次いでいる。中でも多いのは、そもそも聴きたい曲が市場に存在しないと指摘するもので、「金を払ってまで聴きたい曲が無いから」という類の過激な意見を飛ばすユーザも散見されている。類似した意見では「音楽は無料で配り、ライブなどのイベントに集客して利益を上げるビジネスモデルに転換すべき」「ユーザが音楽を楽しむ機会は、JASRACによって奪われている」などがあり、音楽を耳にする上での制限が強まることに対する疑問の声と、音楽を耳にする機会をもっと増やすべきとする声が多い。

   さらに、一昨年に施行された「違法ダウンロード刑罰化」と絡めた意見も散見されている。昨年の報道で「ファイル共有ソフトの利用が減っても音楽の売上が回復していない」現状が伝えられたことに絡め、「タダ(無料)なら聴くけど…」「違法ダウンロードする人はそもそも金を落とさないから、規制しても同じ」という意見も見られ、音楽ソフトの売上回復をゴールの1つとして掲げたこの制度に対する批判的な声が強まっている。

■ 【コラム】「違法ダウンロード刑罰化」で音楽ソフトの売上が落ちるのは当然のこと
   音楽の評判の伝わり方は、人(ユーザ)対人の伝聞からインターネットのコミュニティ経由(ブログ、SNS、掲示板など)に変容しただけで、口コミを通じて広まるという本質は昔も今も同じである。人というノードの連鎖の中で、音楽の評判はノードからノードへと伝わり、その中で音楽を購入するノードが増えた or 減ったというのが、音楽ソフトの売上の増減に繋がる。違法ダウンロードをしていたユーザも、そうしたノードの連鎖の中の1ノードである。「違法ダウンロード刑罰化」は、音楽を耳にするための手段に制限を加え、さらには音楽の評判を他に伝えるという役割をそのノードから奪い去ってしまった。

   音楽業界にとって、市場を人(ユーザ)というノードの連鎖で考えた時、「金を落とすノード」と、「金を落とさないノード」があるが、そのどちらも「音楽を聴くノード」であった。音楽業界が推進した違法ダウンロード刑罰化によって、「金を落とさないノード」は、「金を落とすノード」に変わるどころか、「音楽を聴かないノード」へと変容したのである。「金を払ってまで聴きたい曲が無い」「タダ(無料)なら聴くけど…」という類の意見が飛び出していることからも、上記の変容が進んでいるのは間違いない。「音楽を聴くノード」を減らしてしまう制度がある以上、音楽の口コミが減っていくのは目に見えており、音楽ソフトの売上が減少するのも当然のことである。

   「金を落とさないノード」を「金を落とすノード」に変えないと、音楽ソフトの売上は回復しないが、単に違法ダウンロードを刑罰化しただけでは、この変化を起こすことはできず、もっと悪い「音楽を聴かないノード」に変えてしまう。間違っても「音楽を聴かないノード」を増やしてはいけないのである。「金を落とさないノード」を「金を落とすノード」に変える取り組みは、お世辞にも進んでいるとは言えない。

関連サイト
【年間音楽ソフト市場(1)】アルバムヒット減で2年ぶり前年割れ (From ORICON STYLE)

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