久々に過去チャート掘り出し企画の第2弾をやりたいと思う。
エンドリvsYUIのアルバム対決がYUIの勝利で幕を閉じた今週、いい機会なので改めて「連続首位記録」について掘り出してみたい。オリコンでは、KinKi Kidsがデビュー以来の連続首位記録を24にまで伸ばしているが、それ以前に記録を持っていたのは同じジャニーズである光GENJIであった。
光GENJIのデビュー以来の連続首位記録 | ||||
タイトル | 最高位 | 初動(万枚) | 累積(万枚) | 発売日 |
STAR LIGHT | 1 | 6.5 | 48.9 | 87.8.19 |
ガラスの十代 | 1 | 14.4 | 68.1 | 87.11.26 |
パラダイス銀河 | 1 | 33.8 | 88.9 | 88.3.9 |
Diamondハリケーン | 1 | 30.3 | 68.1 | 88.6.21 |
剣の舞 | 1 | 24.3 | 60.8 | 88.10.10 |
地球をさがして | 1 | 17.5 | 47.2 | 89.3.6 |
太陽がいっぱい | 1 | 13.5 | 69.3 | 89.7.20 |
荒野のメガロポリス | 1 | 10.8 | 26.4 | 90.2.7 |
キンキの前にデビュー以来の連続首位記録を持っていた光GENJIだが、その記録にストップがかかったのは1990年5月17日発売週であった。一時期は年間チャートの上位を占めた光GENJIがまさかの初登場2位となったことで、この時「記録は途切れるもの」というものが改めて認識されたことと思う。
80年代後半当時のチャートレベルで考えるのならば、60~80万枚売り上げれば年間上位進出は余裕の時代であった。しかしこれが90年代に入ると、記録媒体が本格的にCDへと移行し始めたのをターニングポイントに、減少傾向だったシングル売上が軒並み回復傾向に向かう。光GENJIは累積売上では高水準をキープしていたが、徐々にこれまで1位が取れた初動でも「首位獲得危うし」という状況になっていくのであった。
光GENJIの記録がストップした1990年5月10日発売の「Little Birthday」は、前作「荒野のメガロポリス」の初動10.8万枚よりも売上を伸ばし、初動12.0万枚と持ち直していたのだった。ところがこの週、氷室京介の5thシングル「JEALOUSYを眠らせて」が初動16.1万枚という、光GENJIの上を行く好成績で週間首位を勝ち取ってしまうのだ。(前作「MISTY」…89年9月6日発売、初登場2位、初動13.0万枚)
昔チャート予想をやっていたとするならば、氷室京介のこれまでの初動売上を考えれば光GENJIが何とか上回りそうだと予想していただろう。ところがこの氷室の予想以上の好売上が光GENJIの記録にストップをかけたのである。
・1990年5月28日付オリコンシングルチャート
1位…氷室京介「JEALOUSYを眠らせて」(初・16.1万枚)
2位…光GENJI「Little Birthday」(初・12.0万枚)
3位…CoCo「夏の友達」(初・5.6万枚)
では記録が途切れてしまうと売上はどうなるのだろうか。
数字は載せないが、光GENJIは一度ここで2位になるもののそれ以降また2作連続で首位を獲得する。ただその後は一度も首位獲得はできなかった。売上枚数のほうも、しばらくは累積11~15万枚辺りで安定するものの、緩やかに下降の一途を辿ることになった。
しかし記録が途切れてから5年以上も光GENJIはリリースを続けている。それに、記録が途切れたといってもそう極端に売上が落ちたわけではない。先にも述べたように安定した売上を誇ったわけだ。逆に、記録が途切れたことでプレッシャーのないリリースを続けられたのではないかという想像も働くだろう。
2007年の今、同じジャニーズのKinKi Kidsが首位記録を光GENJIの3倍にまで伸ばしている。キンキの凄いところは、近年になって初動が20~23万枚でほぼ固定されていることである。しばらくはまだ記録が伸びそうである。
そして途切れた方にも注目を置けば、先週はエンドリの僅差勝利による過去の記録維持がクローズアップされたことが記憶に新しい。結果的にエンドリの首位記録は途切れたわけだが、これでプレッシャーのないリリースに入れるとなれば、エンドリ本人も、そしてファンも気が楽になったのではないだろうかという考えも浮かぶ。
記録というのは確かに名誉あるものではあるが、「途切れまい」「途切れさせまい」とメーカーやファンが頑張れば頑張るほど、そして当サイトのようなチャート考察ブログやオリコン自らが「記録更新なるか?」などと煽るほど、アーティスト自身のプレッシャーになる。本来適当なところで記録は途切れてしまったほうが、アーティストにとっては縛りが消えるためいいのかもしれない。
過去の光GENJIの事例を取り出してみたが、記録が途切れてすぐアーティストの売上ががくんと落ちたりはしていないという事実を、今再び認識しておいて損はないのではないだろうか。
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光GENJIの記録は氷室が止めたんですね…
確かに記録が途切れてもファンが見放すわけではないですし、それで売上が急に落ちるのならば寂しくなってしまいますね。むしろそんなことで見放してしまえばファン失格なわけです。
ただ記録というものがファンの購買意欲の糧になっているのも事実です。売るためにメーカーは記録を利用しますし、需要と供給の面で考えればファンとメーカーの間では記録が続いている間はしがらみがないんですよね。難しい話です。
ただ、現在と違うのはいわゆる限定版とかで一人のファンに複数買わせることがほとんどなかったことですね。
(当時はCD型番が違うと別集計)
現在だとメーカー側がいろいろな特典でファンに数枚買わせようとしているのがあるのでそのあたりが記録の継続がなくなると変わってくることで数字上の売上に影響はありそうですね。
当時を知っている者として書き込みしておきます。
上の記事の要因+光GENJIは歌番組の減少と共に売上が下がっていったと思います。
TBS系のベストテンが89年秋に終了、90年春には読売系のトップテン終了。他の歌番組も軒並み終了か縮小傾向でした。今のジャニーズと違いほぼ歌手としてしか活動していなかった光GENJIには厳しい状況でした。
「荒野のメガロポリス」まではシングルはレコード、CD、テープの3パターン出していました(3種買うファンもいました)が「Little Birthday」ではレコードの販売がありませんでした。それでも初動が上がったのは特典の特大ポスターの効果だと思います。
まさに時代がレコードからCDに変わったのを感じました。
ちなみに「太陽がいっぱい」はレコード、CD、テープ全種買うと24種あったようです。(もしかしたら23?)
記録が途切れることで生まれる利点もあるということを、これを機会に頭の片隅に考えておきたいですな
それでも私は多くのファンが記録云々でなく、その歌手を支持して買っていると信じていますがね