「AKB48 22ndシングル選抜総選挙」の投票率と累積売上の内訳に関する分析

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【特典生写真付き】Everyday、カチューシャ(Type-A)(通常盤)AKB48の新曲「Everyday、カチューシャ」が、最新のオリコン週間ランキングまでに145.3万枚を売り上げる大ヒットを記録している。
その背景で盛り上がった、「AKB48 22ndシングル選抜総選挙」の投票には、今作の通常盤に付属した「投票券」が約78万枚使われた。この数字を使った分析を行うのが本記事の目的である。



■ 総選挙投票数の内訳
   今回の総選挙では、全部で116万6145票が投じられた。ただ、この数字は全てがCDシングルに付属する投票券によるものではない。
   投票数の内訳は、シングル「Everyday、カチューシャ」に封入された投票券による投票が77万9090票。ファンクラブや携帯サイトなどの会員による投票が38万7055票だった。

■ 145万枚全てに投票券は付属していない
   今回の「Everyday、カチューシャ」は2週間で145万枚以上を売り上げたが、その全てに投票券が付属したわけではない。投票券が付属したのは通常盤であり、劇場盤には付属していない。
   従って、マスコミが “シングル「Everyday、カチューシャ」に封入された投票券による投票” と書いているのは厳密には間違いであり、実際は “シングル「Everyday、カチューシャ」通常盤に封入された投票券による投票” となる。

■ 通常盤購入者のほぼ100%が投票券を行使か
   では、投票券が付属する通常盤はどれだけ売れたのだろうか。サウンドスキャン調べによると、通常盤4種類の売上は約67万枚とされる。しかし、実際には通常盤封入の投票券による投票が約78万票あったため、少なくとも約78万枚の通常盤が売れたことになる。

   公式発表の数字を、オリコンの数字がほぼカバーしていると仮定する。サウンドスキャンとオリコンとの間には誤差があるが、一般流通盤に関してはオリコンと15%以上の差が生じることは稀である(※)。このことから、実際に売れた通常盤は、公式発表の投票数とほぼ同等の78万枚前後である可能性が極めて大きい。ゆえに、今回の通常盤購入者の総選挙投票率はほぼ100%であると推定できる。

   なお、通常盤購入者が78万人いるわけではないことと、投票者が78万人いるわけではないことを補足する。

■ 累積売上145万枚の内訳
   これまでの分析より、公式発表の数字とオリコンの数字がほぼ等しいと仮定した上で、「Everyday、カチューシャ」の累積145万枚の内訳を次のように推定できる。

累積売上 : 約145万枚
→ 通常盤 : 約78万枚 (投票券付属、全国握手会参加券付属[初回のみ])
→ 劇場盤 : 約67万枚 (劇場盤大握手会参加券付属)

   つまり、約54%が「投票券付き」通常盤の売上であり、残る約46%は劇場盤の売上と推定できる。

■ 広まる誤解
   上記のことから、これらは全て誤りと言える。マスコミによる誤った報道も多いようだ。

「シングルCD経由でしか総選挙に投票できない」(携帯サイト、ファンクラブからも投票可能。)
「投票券付きCD『Everyday、カチューシャ』が約145万枚売れた」(投票券付きCDは通常盤のみで約78万枚と推定。)
「145万枚の投票券のうち半分しか使われていない」(投票券付きCDは約78万枚と推定され、投票券はその売上と同数。付属した投票券はほぼ100%が投票されたと推定。)
「CD購入の半数は楽曲目当てである」(握手会目的の購入もある。)
「CD購入の半数は楽曲目当てである」(各種報道から一人で数枚~数百枚購入するファンがいることが分かっているため、ユニークな購入者数は枚数と大きく乖離している可能性大。)

■ 総選挙後にどれだけ売上を伸ばせるか
   総選挙が終わり、「Everyday、カチューシャ」の売上ペースは大幅にダウンした。しかし、上記の分析より、「握手会目的の購入」もかなりの割合であることが推定できる。

   総選挙終了後の購入の主な動機は、「握手会」へとシフトしていくと見られる。そのための「握手券」も既に数十万枚が出回った状態だ。こうした条件の中でどこまで売上を伸ばすことができるかが、今後の注目点の一つだろう。

(※) 一般の店舗に出回っていないパッケージの売上は、サウンドスキャンで集計されないとされる。このようなパッケージには、AKB48の劇場盤や、avex系のmu-mo販売分が挙げられる。

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17 Responses

  1. プレゼント より:

    この記事を読む限りAKB48は粘れないという印象になるが
    ヘビーローテーション・ポニーテールとシュシュ並みの粘りはみせるだろうと私は考えます。
    ちなみに握手券つきの初回版を売ってる店はもう無いからあとは楽曲目当ての購入だけですね

  2. うたかた より:

    AKBに関してはこの後の購入も一概に楽曲目当てとは、いいきれないですね、パチンコの景品などとか?

  3. Min より:

    CDが145万枚売れて、CDからの投票数が78万だったため、AKB関係者が「半分の人は楽曲の良さで購入してくれたんですね」と発言している。百歩譲ってそうだとしても過半数は投票権目当てでしょう。そしてここの記事を読むと、半分の人も楽曲の良さではなく握手権目当てだったようですね。

  4. 古株チャートマニア より:

    サウンドスキャンの売上にはなぜか通常盤(生写真付き)が計上されていません。CDでの投票数に比べてサウンドスキャンの売上が低いのはそれが原因だと思います。

  5. めいこ より:

    投票数以外の売り上げが全て劇場盤だとも言い難いと思います。
    1人で選挙の為に5000枚や10000枚以上購入した人もいるのですから、全て自分で処理出来ず終わった人もいるのではないでしょうか。
    劇場盤も数量限定ですぐ売り切れるそうで数はさほど多くないと思われます。

  6. 545 より:

    プレゼントさんがおっしゃる通り、握手券付属の初回盤は売っている店がないので、楽曲目的のみですね。同じく握手券つきの劇場盤も購入はできません。
    ちなみに私は投票券2枚使わなかった(アルバムと一緒の発送のため間に合わなかった)し、私の周りでも購入したけど、投票するのを忘れてた人がいるので、劇場盤で67万枚はいってないと思います。

  7. LIAM より:

    AKBの音楽に何の価値も見出だせないのだが。

  8. Jake より:

    この件に関してはメディアの歪曲が酷いですね・・・
    あるニュース記事からの引用ですが
    > 半数の人にとっては『CD=投票権目当て』ではないともいえる結果に、
    関係者は「半分の人が、映画(もしドラ)を見てか、楽曲の良さで購入してくれたんですね」と驚きの声を上げた。
    これはさすがに酷いと思いました。何か恣意的なものを感じます。

  9. トマス より:

    サウンドスキャンの売上に関しても疑問があります。
    私がサイトで通常盤4種類の合計を足したところ68.8万枚でした。
    しかしその通常盤全てが【特典生写真無し】と書いてあったのですが、
    Amazonを見ると【特典生写真付き】というのもあるみたいなのですが、それは加算されているのでしょうか?
    またCDを買ったが投票し忘れた人や、投票目的で買っていない人も一部いると考えると『通常盤購入者の総選挙投票率はほぼ100%であると推定できる』
    というのはさすがにちょっと無理やり過ぎる気がします。

  10. トマス より:

    連投すみません。
    あと投票券付きのCDは今週も売れているはずですので、前提となっている145万枚というのはどうかと。
    確か投票の期日が8日まで(?)だったのでその日までの売上(このサイトでは約2.7万枚)を足した148万枚で推測するべきでしょう。

  11. あみ より:

    記事をみるとマスコミもけっこういい加減ですね…
    とりあえず今後の売り上げがどうなるかですね

  12. nnn より:

    > トマスさん
    母数が148万枚でも145万枚でも結果に大差はないのでは?

  13. 特典 より:

    いい加減な訳ではなく…いくつかの新聞で同様の内容の記事が出たようなので、商法への批判をかわすためにAKB陣営が書かせた記事だと思います。
    AKB商品は出すだけミリオンになる。現在決まっているだけで今年3枚のシングルがリリースされます。現時点で年間TOP3独占は決定。それだけでは終わらないと思うのでもし今年10枚のシングルをリリースすることが可能ならほかのアーティストを年間TOP10から全て締め出せますね。それだけの握手会を開催できないと思うので現実的ではない考え方ですけど、そうなったらいろいろな意味で面白いと思うんですけどね。

  14. ABC より:

    特典さん、管理人さんヘ
    『スポーツ報知(土曜日)』では、「CD購入者の投票は約半数だった」と触れられています。
    また『日刊スポーツ(土曜日)』だと、もっと踏み込んで「意外!?投票率53%」との見出しと共に「これまでも投票権のないシングル『桜の木になろう』がミリオンヒットを記録しており、単に投票券の為でだけでなく、純粋に楽曲だけが目的で購入するファンも多かったようだ」と書いてあります。
    これを読む限り、AKBサイドがこの様な記事を各スポーツ紙に書かせたとみて、まず間違いないでしょう。ちなみに、日刊スポーツはAKBをここズーッとプッシュしていて、選挙前日まで、1日3人ずつ、インタビューを載せていました。

  15. より:

    特典さんの言うように、嵐も含め、ほかのアーティストをすべて締め出したようなランキングが年末に出来上がっていたとしたら、それはそれで面白いですね。
    (音楽界にとって黒歴史になりそうだけど)
    AKB陣営がどこまで図太く商売してくるか楽しみになってきました。
    ちなみに私は嵐ファンですが、口をついてでてくるのは最近のAKB楽曲のサビ部分です。
    歌いやすい、良い曲が多いですよね。
    だからなおさらこんな売り方はかわいそうだとは個人的に思うんですけどね。

  16. スキャンダル より:

    半分“も”投票券目当てといえるんですよね?十分多いです。
    どこかのニュースで「『半分以上の人が楽曲の良さで買ってくれた』と関係者驚き」みたいなのがありましたが、なんかすごく恣意的なものを感じます。あまりにも調査不足な記事内容でしたし、AKB48批判を少しでも紛らそうとAKBサイドが書かせた記事と思われても仕方ない内容でした。
    というか、普通はCDって楽曲の良さで買いたくなるものでしょう?今は一概にそう言えないのが現状のよう…
    アイドルに限らず色んなアーティストが、シングルでカップリング曲やDVD収録内容を変えたりなど、複数枚の購入を暗に強いるようなこともやってるし。

  17. donguri より:

    本日(6月17日)付の読売新聞
    (http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/news2/20110616-OYT8T00942.htm)では、
    秋元康氏本人が次のような発言をしています。
    「CDに封入された投票券での投票は、売り上げ(約145万枚)に対して約半数(77万9090票)。
    もっと新しいファンが投票すると思ったが、音楽だけを聴くという人が多かったようです。」
    このように、本人自らが、本記事の「広まる誤解」のトピックにあるようなことを述べています。
    やはり「CD購入者の半数しか投票していない=半数は楽曲目的」という一連の報道は、AKBサイドが書かせたものという可能性が高そうですね。