社団法人日本レコード協会は22日、協会に加盟するレコード会社の実績を取りまとめた、2012年の有料音楽配信の売上実績を公表した。
2012年の有料音楽配信の販売金額は542億9800万円で、前年から25%減。ダウンロード数も前年から減少した。フィーチャーフォン(ガラケー)向け「着うた」「着うたフル」の衰退が主要因とされる。
■ PC、スマホ向け配信は大幅な増加!
販売金額の内訳は、iTunes Storeなどのサービスが含まれる「インターネットダウンロード」が179億8700万円で、前年比+50%の増加。「ソニー Music Unlimited」など、定額制のサブスクリプション型サービスなどが含まれる「その他」が15億2800万円で、前年比+45%となった。これらのサービスはPC、あるいはスマートフォンを通じて利用してもらう形態を取っている。
スマートフォン向け、PC向け配信が好調だった要因の一つとして、日本経済新聞は「2012年11月7日に音楽ソフト大手のソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)が、米アップル日本法人に対して邦楽曲の提供を始めたこと」を挙げている。この方針はiTunes Storeのユーザに好感を持って受け入れられ、配信開始から暫くの間、ソニー系の作品がチャート上位を独占する事態が起きた。
iTunes Storeでソニー系の作品の配信が始まった5日後の11月12日には、レコチョクでもPC・スマートフォン向け楽曲配信がスタート。大手が続々とPC・スマホ向けに注力する動きを見せていた。
また、インプレスR&Dの調査によると、スマートフォンの利用率が個人・企業共に前年からほぼ倍増しており、端末の利用者の増加傾向が、スマートフォン向け音楽配信サービスの利用増に繋がっている可能性が考えられる。
■ ガラケー向け「着うた」「着うたフル」は激減…
一方で、レコチョクなどのサービスが展開してきた、フィーチャーフォン(ガラケー)向け「着うた」「着うたフル」関連サービスが含まれる「モバイルダウンロード」の実績は347億8300万円で、前年比-60%の大幅減となった。具体的に内訳を見ていくと、「Ringtunes(着うた)」が45億5600万円で前年比-48%、「Ringback tunes(待ちうた)」が68億6500万円で前年比-22%、「シングルトラック(着うたフル)」が213億9200万円で前年比-56%と、いずれも大幅な減少となっている。
前述のようにスマートフォンの利用者が増加するに従って、フィーチャーフォンの利用者が減少し、サービスの利用者も減少していると考えられる。
■ トータルでは25%減…フィーチャーフォン向けの減少をカバーできず
スマートフォン向けとPC向けの配信実績が大幅に増加したものの、フィーチャーフォン向け配信の大幅な減少により、音楽配信市場全体は縮小している。
今年は、3月にレコチョクが定額制サービスを開始する予定となっている。市場の再活性化については、既存サービスの充実だけでなく、レコチョクを含む新サービスの成否も鍵となりそうだ。
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