「東日本大震災」今日で発生から1年… “3.11” 以降、震災が生んだ音楽業界への影響を振り返る

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バンザイVenus (typeA)(DVD付)1年前の今日、東北地方・関東地方に甚大な被害をもたらした「東日本大震災」(東北地方太平洋沖地震)が発生した。あの日、最大震度7の激しい地震による揺れと、想定を遥かに上回る高さの津波によって、多数の死傷者が出た。また、各地の交通網は大混乱に陥った。
東日本大震災は、音楽業界にも大きな影響を及ぼした。地震発生当初の混乱から、被災地へのチャリティー活動までを含めた、音楽業界への影響を振り返る。



■ 3/11以降、CDの売上が激減
   地震が発生したのは、昨年3/11の14時46分だった。直後、東北・関東のJRをはじめとした交通網は軒並みストップし、職場から自宅へと帰ることができない「帰宅難民」が首都圏だけで500万人以上発生したとされる。また、地震によって発生した津波が東北地方の海沿いの都市に甚大な被害を及ぼし、多数の死傷者が出た。

   地震発生当日から、人々の多くは「CDどころではない」状況となり、その結果としてCDの売上は激減したと考えられる。その結果は本震当日のデイリーランキングの結果に表れている。通常の平日(金曜日)なら、旧作の売上は前日から1割前後の下落にとどまるが、この時は2~3割減らした作品が大半であった。
(当時の記事)

   地震発生の翌日以降は、高速道路などの交通網の混乱やエネルギー不足などの影響から、CDの流通がストップし、店舗にCDが行き渡らない状況となった。また、週末以降に予定されていた各アーティストのイベントは、震災の影響を考慮して軒並み中止となった。
(当時の記事)


   CDの流通状況とイベント開催中止の影響によって、3/12(土曜日)と3/13(日曜日)でCDの売上はさらに減少した。
   この週に発売されたSKE48の「バンザイVenus」は、SKE48にとってデビュー以来初のオリコン週間1位獲得作となったが、メディアでは殆ど取り上げられることはなかった。SKE48の公式ブログでも、発表当日にオリコン1位に触れるメンバーはいなかった。SKE48と1位争いを繰り広げたNYCの「ユメタマゴ」は、震災の影響で週末のイベントが中止になったため、大差で敗れて2位となった。
(当時の記事)




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↑ SKE48「バンザイVenus」のオリコン1位獲得発表日のSKE48公式ブログ記事一覧

   週が明けた3/14(月曜日)以降も地震の影響は続き、売上回復の気配は見られなかった。3/14のシングルデイリーランキングでは、3位の売上ワースト記録が更新された。また、3/15(火曜日)のデイリーランキングでは新譜が登場するが、それらの売上も軒並み低調な水準となってしまった。
(当時の記事)

■ 3月以降発売予定のCD、次々と発売中止に
   地震発生以降の交通網の混乱などが原因となり、各メーカー・レーベルはCDの発売を次々と自粛した。例えばユニーバサルミュージックは公式文書の中で、この時の自粛の理由について「商品流通を抑えることで少しでも被災地にスムーズに救援物資等が届くようになればという判断」を下したと記述している。
(当時の記事)
AKB48、4/6発売のアルバム「ここにいたこと」地震の影響で発売延期・未定に…握手会も全て中止 (その後6月に発売され、2011年の年間2位のヒットとなる)

   そんな中、「一度全国へ配送してしまったCDを再度引き上げると流通に混乱を招く」と判断したのがVAPである。他の新譜が軒並み発売を延期する中で、VAPに所属するマキシマム・ザ・ホルモンの「グレイテスト・ザ・ヒッツ 2011~2011(鬱くしき人々のうた/maximum the hormone/my girl)」は、この理由から予定通り発売された。多くの新譜が発売を延期したため、オリコンランキングではライバル不在となり、デイリーランキングで14日連続で1位を獲得し、週間ランキングで2週連続1位を獲得した。
(当時の記事)
11/03/22(火)付オリコンシングルデイリー:マキシマム・ザ・ホルモンが初登場1位! 五木ひろしが初日6位!

■ 復興に向けたチャリティーの動き広まる
   地震発生直後の混乱期から、アーティストの間ではCDの売上を被災地に寄付したり、アーティスト自らが募金活動を行うなど、チャリティーの動きが広まった。
(当時の記事)
ゴールデンボンバー、被災地のファンのために「ニコニコ動画」に新曲を投稿! 動画ページで募金を呼びかけ
T.M.R西川貴教、3/30に地震被災者へのチャリティーイベント開催へ CD発売記念イベント会場を提供

   募金活動では、AKB48とその姉妹ユニットによる「誰かのために」プロジェクトによる被災地への義援金が、今年の2/18までに12億5417万5973円に達している。大きな知名度を持つアイドルグループによる募金活動が、被災地に大きな貢献を果たし、復興への道筋を作っている。
(当時の記事)
AKB48らが公式サイトで地震被災者への支援プロジェクト「AKB48プロジェクト義援金」始動!

    また、4月には福島県出身の松田晋二(THE BACK HORN)、山口隆(サンボマスター)、渡辺俊美(TOKYO No.1 SOUL SET)、箭内道彦の4名によるロックバンド・猪苗代湖ズが「I love you & I need you ふくしま」を発売し、CDの売上を被災地に全額寄付した。5月にはアミューズ所属のアーティストが “チーム・アミューズ!!” を結成し、30万枚を超えるヒットを記録したシングル「Let’s try again」の売上を被災地に寄付した。その後も、多くのアーティストがチャリティーシングルをリリースし、被災地の復興に貢献する動きが目立った。
(当時の記事)
11/06/06付 オリコン週間シングルランキング結果速報 (チーム・アミューズ!!のシングルは初動で19万枚を売り上げるヒットを記録した)

■ ラジオのリクエスト曲に変化
   震災を境に、ラジオ番組へのリクエスト曲のラインナップにも変化が起きた。3/11以降、各FM局には被災者を勇気づけるようなメッセージ性を持った楽曲のリクエストが相次いだ。そんな楽曲のラインナップが、下記リンク先にまとめられている。
(当時の記事)

   あの震災から今日で1年。各地では様々な行事が行われ、被災者の冥福を祈ったり、被災地の現況を伝える動きが生まれている。
   音楽業界では、今日3/11に、AKB48とその姉妹ユニットが各劇場でチャリティーライブを行う。また、イベントではないが、TOKIOが「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ系)の2時間特番で、福島第1原発から25km圏内の計画的避難区域にある「DASH村」から現況を届ける。

   震災から1年が経ち、被災地では復興に向けた作業が進められているが、福島第1原発の周辺など、未だに手付かずとなっている地域もある。早急な復興のために、一人一人が力を合わせていく必要があるだろう。

・東日本大震災 (東北地方太平洋沖地震)
   2011年3月11日14時46分、東北地方の三陸沖を震源とする、観測史上最大規模(M9.0)の地震が発生し、地震そのものと地震によって発生した津波により、東北地方、関東地方の広い範囲で甚大な被害が発生した。
   地震・津波被害を受けた被災地では、徐々に復興への動きが進んでいるが、完全な復興には至っていない。地震・津波によって発生した福島第1原発事故の影響は未だ収束せず、原発周辺の住民は今も避難生活を強いられている。警察庁は、2012年3月8日現在の地震・津波による死者を15,854人、重軽傷者26,992人、行方不明者3,203人と発表している。

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